忍者の里として有名なのは、言うまでもなく伊賀(三重)・甲賀(滋賀)。
三重も滋賀も、関西系の言葉をもともと使っているはずで、
ござるなんて語尾は、どっちの方言にもなさそうだ。
本物忍者は、実際には「ござる」とは言ってなかったのではないか?

じゃあ、なんで忍者が話すときには「ござる」という記号が定着したのか。
各地で忍者ショーや忍者教室を行う、
伊賀流忍者集団・黒党(くろんど)頭領、
伊賀流忍術復興保存会会長の黒井宏光さんにたずねてみると、
「やっぱり『忍者ハットリくん』からだと思います」
とのこと。
『忍者ハットリくん』の連載がスタートしたのは、1964年。
のちのちの忍者の言葉づかいに影響を及ぼすとは、
さすがでござるな、ニンニン。

ルーツ的なことは分かった。
じゃあ、実際の忍者は、どんな言葉使いをしていたのか。
黒井さんは言う。
「おそらく、普段は伊賀弁、甲賀弁、
土地の言葉をしゃべっていたと思いますね」
考えてみれば、忍びの者という仕事の性質上、
うかつに忍者であるということがばれたら困る場面は多いはずだ。
いかに溶け込んでいるかが大事。
だから、そんな、しゃべっただけで一発で
「こいつ忍者」って丸分かりになるような目立つ言葉づかい、
するわけがないでござるな。

命を受けて、各地に赴き潜入するのも忍者の大事な仕事。
そんなときは、その土地の言葉をうまくしゃべれないといけない。
「ですからむしろ、特徴的な言葉づかいを持つのではなく、
いかによそ者だと悟られないようにするほうが大事です」
しゃべった途端、「おまえ、伊賀者だな!」
と一発バレしてるようじゃ、意味ないわけで。

黒井さんによると、忍者も方言習得はそれなりに苦労したようで、
「特に『薩摩(鹿児島)が大変だった』という記録が、伝書に残っています」
西郷どんみたいに、「おいどん、~でごわす」
と話す忍者の姿を想像すると、ちょっと楽しい。

忍者というのは、しゃべる言葉ひとつも、大事なんだってばよ。
っていう、現在の人気忍者マンガ代表、
ナルトの「~だってばよ」しゃべりは、
まだまだナルトの口癖でしかなくて、
これ聞いても「あっ、忍者」でなく、「あっ、ナルト」としか思えない。
「ハットリくん」って、すごいな。結局、そんな結論になりました。

エキサイトニュース 2007年04月12日 10時00分